山賊眼鏡餅。

山の中はひんやりしていて空気が澄んでいる。

まだ午前中なので、日差しもさわやかだ。

山歩きには最高のコンディションだが、足取りは重かった。




山頂の茂みの前まで来て、私は立ち止まっていた。

ここまで来たからには、家まで行くのが自然の流れだろう。

でも、このまま引き返したい気持ちでいっぱいだった。



だいたい、ハジメに、ハムスターのことをどう切り出したら良いのだろうか。

私のハムスター盗んだでしょ?

なんて、気軽に言えるような感じではない。



まず、一昨日のカツアゲについて何か話さなければいけないだろう。

ハジメの行いはひどいものだったが、私もひどいことを言ってしまった。

何分、茂みの前で考え込んでいただろうか。

その時、茂みの中から、急に人が出てきた。




茂みの中から出てくる人といったら、ハジメかハジメのお母さんの二人しかいない。


「ハジメ!」

とっさに声をかけた。