大翔が結子のこと好きなの知ってたから。
それから、結子も大翔を好きだってわかってたから。
だから当たって砕けたら、ちゃんと大翔に言うんだ。
俺も結子が好き“だった”って。
それから郁奈にも言わなきゃな。
結子を連れて、俺は校舎の端っこにある空き教室に向かった。
そこなら人も来ない。
教室に着くまでなんて言おうかずっと考えてた。
心臓は今までにないくらいの音を立ててる。
まだちゃんと言葉が纏まらないうちに、目的地に着いてしまった。
ドアを開けて中に入る。
廊下は遠くから聞こえる生徒たちの声でざわめいてるのに、教室の中はシンと静まり返っていた。
俺の後ろから入ってきた結子がドアを閉めた音でさえ驚いてしまう。
今は使われてない机の上に結子が持っていた荷物を静かに置いた。
「先輩、私に用事ってなんですか?」
結子が俺に尋ねる。
結子に背中を向けたまま、深く息を吸い込んだ。
そして胸に当てていた手を下ろし、ゆっくりと振り返る。


