真っ白な雪は休みなく降り続ける。
俺の心の中みたいだ。
ガヤガヤと賑わう放課後の廊下は、あまり好きじゃない。
「永峰先輩!大翔先輩が探してましたよ!」
職員室前の廊下から外を眺める俺の背中を押したのは結子だった。
部活の後輩で1年の結子は俺の好きな子。
俺の一番の友達の大翔と結子が付き合い始めたのは先月のことだ。
それも結子の誕生日に俺が結子に告れなんて言ったから。
大翔の気持ちも知ってたから、絶対うまくいくってわかってたんだ。
俺ってバカかも。
それでよかったはずなのに、今は2人の近くにいるのが苦しい。
「先輩?」
結子に呼ばれて顔を上げると、思ったよりも近くに結子の顔があった。
「うわっ?!」
声を上げて思わず後退り。
「なんですか?!私何かしました?」
結子も驚きの表情を見せる。
別に結子は何もしてない。
俺がまだ慣れてないだけ。
俺の大好きな子が、大切な友達の彼女だって、まだ慣れてないんだ。


