「湯川!ありがとっ!」


動かしていた足の速度を少し緩めた。



「別に。礼言われるほどのこと、してないし。」


「なになにー!

湯川、照れてんの~?」


日向はそう言ってケラケラ笑う。



「照れてなんかねぇーよ。」

と、言うが少しくすぐったかったのは事実。



「にしても、あんなこと言ってくれるとは思わなかったなぁ」

日向は少し頬を赤らめ言う。



「あんなこと…?」

俯き気味に走る日向。



「湯川ってあたしの中ではクールな感じで。

人のために大声出したりするイメージなかったからさ。


だからちょっと驚いた。」


日向はそう言って笑った。


俺、どんな冷酷人間なんだよ。

困ってるヤツがいたら、助けるのが普通だろ?



「なんかあったら言えよ。

あんなヤツ、俺がどうにかしてやるから」


気づいたらこんなことを言ってる俺がいて。

ちょっとカッコつけすぎだな…なんて自分で思った。