「奈々ー!! 彼方くーん!!」 上から、 友達の幹本由香《ミキモトユカ》の声が降ってきた。 見上げると、 やっぱりベランダから手を振っている。 「おはよ~! 由香ー!」 手を振り返すと、 由香が笑った。 「おはよーー!!」 そして、 さっきより大きな声が返ってくる。 ガチャッと、自転車に鍵を掛ける音がした。 反応して振り返る。 「彼方、行こ!」 「おう―…!」