唇をキュッと噛み締めて、机に向かう。
今は勉強に集中しなきゃいけない時期だ。


由実夏とほぼ毎日、図書室へ行って勉強をしている。
たまに息抜きでどこかに出かけたりもするけど、今はなにより勉強優先だ。



由実夏と共に、飛鳥高に行くために――。



そうしたら、それこそほんとに踏ん切りがつくかもしれないし…。
まあ、まだ奈々は迷ってるみたいだけど…。

どうするんだろう。



最近の奈々は、糸田に志望校の相談ばかりをしている。


なんで俺がそんな事知ってるかって―?


――聞こえてくるんだ。
なぜだか、わからないけど…。

あの賑やかな教室の中で、なぜだか奈々の声ばかり聞こえてくるんだ…。