鍵穴を通して、覗いていたものに、覗かれていた。 睫毛と睫毛が触れてしまいそうな距離に、私の目と…死人の真っ赤な目……。 恐怖でおかしくなりそうだ。 ふふふ、ふふふふふ。 これはいい記事が書けそうだ。 これで出世出来るかもしれない! もう、こう考えるしか、私には成す術がなかった。 タクシードライバーは、そんな私の不気味な笑い声を、静かに聞いていた。