「凄い……月が大きく見える…」 それは、 いつも見ている月ではなくて。 私の目線より少し上にある月。 普段見ている高さとか全然違って 遥かに低い。 大きさだって・・・・・ 何倍もの大きさのように思える。 ───今日は満月。 神秘的に 赤みがかった光を発していて… こんな月、初めて……… その月に目を奪われる私… 「目の錯覚なんだよ……… 月が大きく見えるのは。」 そう言って、 彼はブレーキをかけ 自転車を止めた。