また恋をした、その時に。



ガチャ………

保健室のドアを開ける。

消毒薬匂いがして、ホッと安心するような雰囲気は
小学校の時から変わらない。


「どうしたの?…顔色悪いね」

私をあたたかい笑顔で出迎えてくれたのは、
50代くらいの保健室の先生。


「ちょっと貧血気味で…」

「そう…。ちゃんと朝ごはん食べたの…?
向こうのベッドに行こうね…」

保健室の先生は椅子から立とうとしている私の肩を持ち、そっと支える。

その時だった…

保健室のドアが開いたのは。


「あら、今日は多いね…、お天気のせいかしら…」



先生の言葉に
私は白いカーテンを少し捲り、外の景色を見る。




灰色の入道雲が遠くに見えた。

“今にも雨がふりそう…”

カーテンを手から離し、
ベッドに向かう。




「どうしたの?」

先生の声。
今保健室に入ってきた生徒に
話しかけているらしい。

「あああああの…」