「…やっぱ言えねぇな。
今、遠藤さんの心にいる人知ってるから。
今は、言え…ない。」
小日向はそう言って、私から離れると短くため息をついた。
「小日向…」
涙が貯まる…………
小日向はこんな私の事をずっと
見ててくれたんだ…
中学の時から不思議だった、彼の視線の意味。
私の中で確信にかわった…
気づかなくて、ごめん。
いろいろな想いで胸がぎゅうっとしめつけられる…
「悪い、遠藤さん早く休みな………
俺、もう行くから」
「………うん、ありがと…」
まだ彼の温もりが身体に残る中、
小さくなっていく小日向の後ろ姿をずっと見ていた。
それから、思い足取りで保健室に向かう。


