「全然。ただ、好きなだけ」 「へぇ。このハナモモの花言葉とかも知ってるの?」 ハナモモの花言葉は確か……。 「……恋のとりこ」 俯いて、小さな声で呟くと、相馬くんの指が視界に入ってくる。 目を見開く私。 細くて長い指が、一本のハナモモを掴むと、花瓶へスッとさしてくれた。 「今の俺みたい」 ふわりと笑って、彼は教室に入って行く。