「普通はできないよ。普通はできないことを、お互いしてるんだよ。お互いしかいないのに通じ合えないっておかしいよ」


彼は私のために。
私は彼のために。


忘れようとしてる。心の中では想い続けているのに。


「何が二人を阻んでいるのかは分からないけど、二人なら乗り越えられるよ」


二宮くんは笑って、私の背中を押してくれた。


「図書委員の仕事は“今日だけ”は俺がやっておくから。田宮さんは、自分が今すべきことをしてきな?」

「二宮くん……」


なんでそんなに優しいの? たった今、私は二宮くんのことふったのに。


涙で視界がぼやける。二宮くんの優しさは、今の私の気持ちをより一層切なくさせる。