あ……だから何事もなかったように、普通に話しかけてきてくれてたの?


「間接的とは言え、あみの口から、別れたって言葉が出たなんて聞いたら……」


今まで見たことないくらい、切ない表情の彼。


彼は私の手をつかむと、すごい勢いで廊下へと歩きだす。


「ちょっ……相馬くん?」


近くの教室に入り、ドアを閉められた。二人きりの空間。


私は、すぐにでも逃げ出したかった。だけど強く握られた左手首は振り払えない。


完全に手を、彼に支配されていて、逃げることができなかった。



「あみにとって、俺はそんなに簡単に別れられる相手だったんだ?」

「違う! 私だって考えた。悩んだ。でも……もう無理だよ……」

「何が無理? 俺、なおすから!」