【masaki】


“好きでもない?”


その問いかけに頷く彼女を見て、俺はやっと、自分のしてしまった事の重大さに気づいた。


最初から彼女は男の子が苦手だった。声をかけられて、ジッと見つめられるだけでも緊張していたような女の子。


一年前、俺が声をあらげてしまった時も、震えていたじゃないか。


自惚れてた。


キスも抱擁も、受け入れてくれたから。


抱き締めた時に、初めて背中に腕をまわしてくれた彼女。


ああ、足りない。
もっと、彼女と近づきたい。


そんな欲が生まれて、ずっと抵抗して、拒否する言葉を発していた彼女のことなんて考えず、暴走してしまった。