彼は私の声に反応して顔をあげる。そしてすぐに顔を背けた。 「……悪いけど一人にして」 「血……出てるから保健室に行こう?」 ポケットからハンカチを取出して、差し出す。 「あみにこんな情けない姿見られたくないから……かっこ悪いから、一人にしてよ」 ……そんなこと言われても。 「ほっとけない。私のことを言われて喧嘩したって聞いたから……ごめんね」 彼は黙って立ち上がり、私のハンカチを受け取ると血の出ている口角を押さえた。