追い掛けてこようとした彼を、きつく睨み付けた。


「来ないで……。今は相馬くんの顔見たくない!」


吐き捨てるように叫ぶと、踵を返して走った。


彼は追いかけてこなかった。きっと私からたたかれ、拒否られて、ショックだったんだと思う。


でも私だってショックだったよ……怖かったよ……。


いくら付き合ってるからって、私の意志を無視しないでよ。


一人だけの感情を突っ走らせて、あんなことするなんて……ひどいよ。



家に帰ってからも、体の震えが止まることはなかった。異常なほどに、感じた恐怖。



彼につけられた首のキスマークを髪で隠して、ギュッと強く目を閉じた。