洗えば元に戻るのかな……


そんなことを考えながら、やっぱり色のついた唇でいたいとも思う。


ふと、ママの言葉を思い出す。


この紅い色つきリップを選んだ時、ピンク色を薦めたママ。


『ピンクなんてつけたかつけていないか、わからないじゃん』


そう言ったわたしに、


『美咲くらいの年頃は、そのくらいのほうが可愛いわよ』


そう言ったんだっけ。


今ならわかる。


ママの言ったこと。


変わりたかったわたしは、この紅い色を選んだ。


誰が見ても『色がついた』とわかる、紅い色。