カバンを持ってまた、体育館を覗く。 大野には『今日は帰れ』と言われたけど、桃ちゃんに部室を片付けてくれた御礼を言わなくちゃ…… 「桃ちゃん」 体育館の入り口で、後輩の名前を呼んだ。 「あっ、美咲先輩!」 桃ちゃんがわたしに気付いて駆け寄って来た。 「桃ちゃん、部室の掃除……」 「美咲先輩、大野キャプテンが!」 「え?」 「大野キャプテン、右の手首にひびが入ってるかもって……、これから病院に行くそうです」 「……」 目の前が真っ暗になった。 ・