……彼があたしに悪態をついた理由。


それは、あたしが何回もしつこく彼をモモって呼んだから。


「モモ、モモちゃーん、こっちおいでよー。モーモ、モモっちー、モモモモモーモ」


くるんと体を丸めながら長くて真っ白いシッポの先をずっとピクピクさせていた彼は、部屋のすみですくっと立ち上がると、あたしの求愛をドブスという一言で拒んだ。


……最後のモの連打が地雷だったのかも。


ムクムクの黒猫が走る柄のグラスをコトンと置いて、テーブルにほお杖をつく。