「 曖!どこ行くの? 」 後ろからお母さんがあたしを呼ぶ声が 耳に入る。 「 杏飴屋さん! 」 振り向きもせずにそう叫ぶと、 美味しそうな杏飴屋さんに、 足を止まらせた。 「 お嬢ちゃん杏飴欲しいのかい? 」 坊主に鉢巻、 黒いエプロンを身にまとったおじさんに こくりと頷く。 「 そうかいじゃああげるよ。 」 おじさんは杏飴を2個あたしに手渡すと 目を細めにこりと微笑んだ。