時計の長針が、まもなく12を回ろうかという、午後3時前。

モモちゃんは幾分緊張した面もちで、病室の入り口に立っていた。

「大事なことは、本人の口から聞いた方がいいだろうと思ったから…」

と、扉に隠れて見えなかった人が、姿を見せた。

ずいぶん痩せて、あの日のふくよかなイメージは見るかげもなくなって、車椅子に座り肩を丸めた小さな姿は、どこか哀愁さえも感じてしまう。

それに、着ていたのは洋服ではなくて、病衣だった。

私は息を呑んだまま、その姿をまじまじと見つめてしまう。