「貸して!」

早苗はそう言うと、私に手のひらを見せた。

「何を!?」

「スプーンに決まってるでしょ?」

「何で!?」

「アタシが食べさせてあげる! ナギ、赤ちゃんだからね!?」

笑いながら、早苗は言った。

それを冗談だと思った私は、言われるままにスプーンを手渡し、『あーん』としてみる。

と、口の中にお粥が運ばれた。

「はい! もう一回『あーん』して?」

と言う早苗の顔は、真剣そのものだった。