"チョン、チョン。"


のんちゃんが、シャーペンであたしを呼んだ。


「鞄、いつあげちゃうの?」


しばらく考えてるうちにまた、あの声が…


『すぐ、あげちゃう。』

「へぇ~。さすが、かなっぺ、気前よい!」


じ、じ、冗談じゃない!
父さんが、消えてからの母さんの苦労を思えば…ちょっとやそっとで、あげちゃうなんてできない。


「母さんに申し訳ない。」

「かなっぺ…。」


のんちゃんは、知ってる。あたしの父さんは、死んだんじゃないってこと。それと、あたしと母さんが、父さんを恨んでないことも。


゛キンコンカンコン゛


あたしの好きな英語が、終わった。