言いながら静香はゆっくりとスライドを引いた。弾倉の一番上で鈍く光る金色の弾丸が滑らかな動作で銃身に滑り込む。
「あの日、お母さんは右手で私の手を引き左手には猟銃を持って川村家の玄関前に立ったわ。私はお母さんが何をするつもりなのか分かった。でも止めなかった…止められなかったのよ。だってあれは私のお母さんじゃないわ、鬼よ…碧の父親に鬼に変えられちゃったのよ。私を外に待たせたままお母さんは家の中に飛び込んだわ。何発かの銃声のあと血まみれのお母さんが出てきた。私はあのときのお母さんの目を忘れない。今でも夢に出てくるわ…川村健吾と川村美津子、それに川村沙耶…あなたよ碧…みんなを抹殺した後、まず両親の死体を池に投げ込んだわ。私はただただ怖くて泣きながらお母さんの後を追った。ちょうどダムの所に池があったのよ。覚えてないでしょうけど…。二人を池に捨ててから川村沙耶の死体を取りに行ったら死体がないじゃない、慌てたお母さんは半狂乱になって外に探しにいったわ。猟銃を持ったまま血まみれで走り回る所を見られた何人かも、射殺する羽目になったのは誤算だったけどね…碧、私はあなたを許せない…川村家は全員殺してやる。お母さんがやり遂げられなかった事を私が引き継ぐのよ!」
静香の人差し指がゆっくりと引き金に触れる。
「落ち着くんだ紺野さん…お母さんと同じ運命を辿るのか?落ち着くんだ」
肇が顔面蒼白に成りながらも落ち着いた口調で諭す。
「みんな殺してやるわ…そして私も死ぬのよ。お母さんも一番最初に、ちゃんと碧を殺しておかないからこんな事になるのよ。半狂乱になりながらお母さんが次々と村人を撃ち殺した後、私は池の近くを這うようにして逃げる沙耶をみつけたわ。すぐにお母さんと二人で追いついた・・・顔中血まみれで泣きながら逃げる沙耶に向かってお母さんは銃を構えたわ…でも…でも、撃たなかった」
「どうして?…どうして私を撃たなかったの?」
「撃てなかったのよ…私がそばにあった大きな石をお母さんの頭に叩きつけたから」
突然静香が気が狂ったように高笑いを始めた。
「あの日、お母さんは右手で私の手を引き左手には猟銃を持って川村家の玄関前に立ったわ。私はお母さんが何をするつもりなのか分かった。でも止めなかった…止められなかったのよ。だってあれは私のお母さんじゃないわ、鬼よ…碧の父親に鬼に変えられちゃったのよ。私を外に待たせたままお母さんは家の中に飛び込んだわ。何発かの銃声のあと血まみれのお母さんが出てきた。私はあのときのお母さんの目を忘れない。今でも夢に出てくるわ…川村健吾と川村美津子、それに川村沙耶…あなたよ碧…みんなを抹殺した後、まず両親の死体を池に投げ込んだわ。私はただただ怖くて泣きながらお母さんの後を追った。ちょうどダムの所に池があったのよ。覚えてないでしょうけど…。二人を池に捨ててから川村沙耶の死体を取りに行ったら死体がないじゃない、慌てたお母さんは半狂乱になって外に探しにいったわ。猟銃を持ったまま血まみれで走り回る所を見られた何人かも、射殺する羽目になったのは誤算だったけどね…碧、私はあなたを許せない…川村家は全員殺してやる。お母さんがやり遂げられなかった事を私が引き継ぐのよ!」
静香の人差し指がゆっくりと引き金に触れる。
「落ち着くんだ紺野さん…お母さんと同じ運命を辿るのか?落ち着くんだ」
肇が顔面蒼白に成りながらも落ち着いた口調で諭す。
「みんな殺してやるわ…そして私も死ぬのよ。お母さんも一番最初に、ちゃんと碧を殺しておかないからこんな事になるのよ。半狂乱になりながらお母さんが次々と村人を撃ち殺した後、私は池の近くを這うようにして逃げる沙耶をみつけたわ。すぐにお母さんと二人で追いついた・・・顔中血まみれで泣きながら逃げる沙耶に向かってお母さんは銃を構えたわ…でも…でも、撃たなかった」
「どうして?…どうして私を撃たなかったの?」
「撃てなかったのよ…私がそばにあった大きな石をお母さんの頭に叩きつけたから」
突然静香が気が狂ったように高笑いを始めた。


