久しぶりに帰る東京は、うれしくも何ともなかった。

私の心は、晴れなかった…

私は、仕事をすることにした。

人と話さなくてすむ仕事を探した。

いつしか、夏休みに入り、両親と長崎へお墓参りに行くことになった。

長崎へ着き、親戚の家に泊まることになった。

大人ばかりの会話につまらなくなった私は、外へ出かけることにした。

歩いていると、学校が見えてきた。

どうしようか考えたが、寄ってみることにした。

門まで行ったが、もう廃校になっていて、入ることはできなかった。

ふと、お婆ちゃんの家が気になり、行ってみることにした。

お婆ちゃんの家は、何もなく、セミの鳴き声だけがひびいていた。
私は、自分の部屋へ向かった。

私の部屋には、ベッドが残されていた。

私は、おもむろにベッドに横になり、じっと天井を眺めていた。

すると、いつしか眠っていたのだろう…

夢を見ていた…

すると、私の目の前に太田川 なつさんが現れた。

笑顔で私に話しかけてきた。

「学校へ行こう」

指さす先には、加山先生が手をふって、待っている。

私は、やっと心が晴れ、おだやかな気持ちになれた。

彼女が差し出す手をつかみ、笑顔でかけ出す私は、


『これからが、私の、本当の人生…』


そう心につぶやいた。