ケイカ -桂花-

宮崎は、半分以上無くなったペットボトルを左手に、キャップを右手に固まっていた。

手からはぼたぼたと、まだ炭酸の泡が残る茶色のジュースが滴り落ち、濡れた前髪が顔に張り付いている。

プッ。

その姿と驚いた宮崎の表情がおかしくて吹き出した。

「ビックリしたーー」

「アハハッ、走ったりするからだよー」

「あーあ、べたべただし」

苦い顔で手や髪を触る、その顔も笑える。

水道のあるところまで移動する間も笑いが止まらない。

「笑いすぎだってー」

情けない顔で情けない声を出す宮崎にまた笑った。