ケイカ -桂花-

「・・・でさっ、・・・・・なんだってー・・・」

Aの口がせわしなく動く。

Bが大口で笑う。

Cが私の肩をばんばん叩く。

・・・。

ほんの一瞬の沈黙。

Aの目にさっと冷たい色が射す。

しまった、私か。

「え、えー、マジでー」

大げさに当たり障りの無いリアクションをする。

「マジだってー」

再び流れ始める会話。

私が一瞬止めた事は無しになる。


私達は、全員が友達を演じている。

誰一人として、本当の意味で友達なんて思ってはいない。

わざわざ口に出して確認はしないけれど、みんな分かっている。

その証拠に、学校を一歩出れば何のつながりも無くなる。

当然のように放課後も教室は一緒に出るが、校門をくぐり抜けた瞬間バラバラになって帰る。

メールも電話もしないし、帰りにマックにも行かない。

徹底しているのだ。