ケイカ -桂花-

まだやるなんて言ってないけど、私の手はホウキを動かし始めた。

「ゴミなんて無いじゃん」

はいてもはいてもホコリ1つ出てこないほどきれいだった。

「きたない所できれいになんてなれるわけないでしょ?
ここは人をきれいにする場所なんだから」

あぁ、まあ一理あるかな。

やる前から、十分きれいだったけどね。

私の顔が映るくらいピカピカに磨かれた床をはき終わると雑巾がけまでやらされた。

「こんな時間からお客さん来るの?」

一息ついた私はちょっとバカにした感じで聞いた。

だってこんな目立たない場所で、小さくて、ケイ1人でやってるみたいだし、絶対はやってないだろ?

「今日は忙しいんだよね。覚悟しといて」