ケイカ -桂花-

警戒心を残しつつ、階段を降りるケイの後に続いた。

急に、興味というか、怖い物見たさな好奇心が湧いてきたのだ。

他に人はいないみたいだから、いざとなったら走って逃げればいいし。

ここが何なのか、知りたい。

ケイの店って、ケイの仕事ってなに?

中に入って店内がパッと明るくなると、すぐに疑問は解けた。

美容院だ。

壁の鏡や、その前にでんと置かれた大きなイス、ケープやきちんと畳まれた何枚ものタオル、シャンプーやワックスの匂い。

私の知ってる美容院よりもずっと狭いが、まぎれもなく美容院。

「美容師なんだ?」

「うん、そうだよー」

ケイは私にホウキを渡すと、引き出しからあれこれ取り出し何かの準備を始めた。