ケイカ -桂花-

「私、中学生だしっ、それに制服だよっ、制服」

歩き出して数分後、やっと声を出せた時、そこは最悪の予想通りの場所だった。

いかにも怪しげな細い路地、電気はついていないがピンクや紫の派手な看板。

「いいの、いいの、地味な方が」

相変わらずの呑気な声に反するようにしっかりと手を掴まれ、看板たちをすり抜けた。

このままじゃヤバイかも。

「いやだって!!」

力一杯振りほどこうとした私の手は、するりと抵抗無く空を切った。

「ここよ」

私の手を離したケイが振り返って言った。