ケイカ -桂花-

「だよね。ハナのママずっとにこにこしてたよ。それも無理してる感じじゃなくて、超自然に」

「どういうこと?」

「さあ?私セイちゃんの事誰にも話した事ないけど、友達に話してるみたいな気になったよ。『素敵ね』とか、『分かるー、そういうとこあるよねー』とか相づちがまた上手くてさ」

なんでお母さんそんな事?

そういう作戦なのか?

「最終的に『ここに来て泣かなかったのあなただけだから、良いお友達になれそうだわ』だって。一瞬、本当に友達になれるって思っちゃったもん」

またケラケラと声を上げて笑った。

「なんだそれ。ママの作戦にまんまとはまってるだけじゃん」

ママって言うと別の人みたいで、落ち着いてしゃべれる事に気付いた。