ケイカ -桂花-

トゥルルル・・・

3コール目でDが電話に出た。

4月に同じクラスになって、かけるのは初めてだ。

いきなりかけても出ないだろうから、事前にメールをうった。

宮崎の事で電話する、と。


『なに?』

もしもし、も、ハナちゃん、も無しだった。

聞いた事のないDの冷たくて、赤の他人みたいな声にちょっとひるむ。

「宮崎の事なんだけど・・・」

『で、なに。用件だけ早く言ってよ』

密かに深呼吸をして覚悟を決めた。

「知ってるんだ私、宗教の事。宮崎に勧誘されて入ったって。S町で見かけたこともあるし」

Dは無言で、私の出方をじっと待っているようだった。

「騙されてる。あの宗教はインチキなんだよ。お金が目的なんだよ、だから・・・」

『お金なんて、1円も払ってないけど?』

「それは、あの、今はそうかもしれないけれど、この先そうなるんだって。18になったら水商売で働かされて・・・」

Dが、フンッと鼻で笑ったのが電話を通して聞こえた。