ケイカ -桂花-

チラチラと教室のあちこちに視線を動かす。

担任が教室に入って来たのに、宮崎は、いない。

会いたくはないのだけど、いないならいないで気になってしまう。

私に会うのが気まずいから?

でも宮崎は全く気にしてないみたいだったし。

朝のホームルームが終わる頃、その謎は解けた。

「急ですが、宮崎君は転校しました。お家の事情だそうです」

やる気のない声で言うと、さっさと教室を出て行った。

とっさにDを見た。

少しざわついたみんなの中で、平然としている。

知ってた?

私は知らなかった。

私の事とは関係ないだろう。

転校なんてそんな簡単に出来るもんじゃないから。

多分前から決まってた。

なんで言ってくれなかった?