ケイカ -桂花-

「大事だからじゃないか?」

「意味分かんない」

「大事すぎて扱い方が分からないってこと。
ほらああいう性格だから、子供の頃は特に友達が出来にくかったらしい。だから友達っていう存在に、ハナに執着してた」

「どこがよ。あっさり捨ててったじゃん」

オヤジはフーッと大きく息を吐き、怒りを抑えた低い声で言った。

「ハナ、もう少し大人になれよ。ケイの気持ちもちょっとは考えろ」

オヤジに怒られたのは、多分これが初めて。

なんだよ、父親みたいな事言うなよ、オヤジのくせに。

「もういいよっ」

急いで部屋に戻り、ベットに滑り込むと頭から布団をかぶった。

オヤジはなんで納得してんだよ。

ケイがいなくなったままでいいのかよ。

私はそんなの無理だ。

私の方がケイに執着している。