ケイカ -桂花-

「くらーーい。私はそこまで暗くないし」

急に耳に入ってきた声に驚いて顔を上げると、そこにいたのは、あの愛人だ。

さっきウチのソファーに座っていたあいつが、玄関にあったあのサンダルを履いて目の前に立っていた。

思わずぐっと手を握って水色の爪を隠した。

「全然、似てないじゃん」

愛人はそう言いながら隣に座った。

なんでここに?

なんで座るんだよ。

「何の用?」

「私とハナ、似てないよねー?」

「は?何言ってんの?」

大体、ハナって。

・・・ムカつく。