ケイカ -桂花-

頭の上の外灯が灯り、すっかり暗くなっているのに気付いた。

公園にはもう誰もいない。

でもまだ6時になったばっかりで、帰るには早い。

ただなんとなく、ベンチの水色のペンキの僅かに剥げた所から、爪で無理やりはがした。

カリカリ・・カリッ・カリカリカリ・・・。

するっと取れる所もあれば、手強い所もある。

粉末になったペンキが爪に詰まって水色になっていく。

いつの間にか集中していた。

決して楽しい訳じゃなくて、ただなんとなく。