ケイカ -桂花-

11時を過ぎた頃、私は手にコンビニの袋を提げて、ケイの部屋の前にいた。

時間を持て余して、のこのこ来たのだ。

ご機嫌取りのお弁当まで買って。

ケイは、多分、まだ寝てる。

ゴミ袋の山を咎めた時、ゴミ出しの時間に起きたためしが無いって言ってたし。

しつこくチャイム鳴らしたら、寝起きの顔で「ハナー?」なんて、きっと普通に言うだろう。

取り合えず1回鳴らしてみる。

ピン、ポーン。

控えめな押し方が、そのままの音となって扉の向こうで響いた。

こんなんじゃあ起きないだろう。

再びチャイムに指をかける。