ケイカ -桂花-

お母さんの「おかえり」に返事もせず、そのままの勢いで階段を駆け上がり、部屋に逃げ込んだ。

やっと私は今も宮崎が好きだと分かって、この先の事はこれから考えるはずだった。

話し合うのか、問い詰めるのか、許すのか、付き合い続けるのか、それとも別れるか。

全てこれから考えるつもりだった。

よくあることって流さないで、自分の気持ちを大事にしてる真っ最中なのに。

まるで強制終了させるみたいな言い方、ひどいよ。



「ハナちゃん?ご飯は?」

お母さんがドアを開けていつもの明るい顔で聞いた。

のど元まで出かけた。

「お母さん、幸せ?」って。

でも、その笑顔を見たら、怖くて聞けなかった。

もし聞いたらお母さんはなんて答える?