ケイカ -桂花-

部屋の中で唯一、物の無いベッドの上に横になった。

タバコのせいで茶色くなった天井をぼーっと見ていると、涙が一筋流れた。

時間が必要って、まだ泣く時間がいるって事なのかと思ったが、その一筋を最後に涙は出なかった。

体の中の最後の一滴を絞り出した、そんな感じなのかもしれない。

ベットからはケイの匂いがしている。

疲れた体にベッド、その上甘くて落ち着く匂い。

こんなに眠る条件は揃っているのに、目を閉じても一向に眠りに落ちる気配は無かった。

頭だけが妙にはっきりとしていて、宮崎との色々な場面が浮かんでは消えていく。

表情、声、言葉、手の温もり、手を伸ばせばすぐそこにありそうなくらい鮮明だった。

そして、唇の感触。

あの時、私達は確かに通じ合った気がした。

純粋で大切な物を2人で共有した、大げさに言えば愛みたいなもの。

そう思ったのは私だけだった?

私の勝手な思い込みだっただけ?