ケイカ -桂花-

そんな私をケイはそっと抱きしめた。

甘い香り、桂花、キンモクセイの匂いが私の全身を包んだ。

私と同じ名前のケイの匂い。

どのくらい泣いていたのか分からない。

全身が重く疲れていて、ずきずきと頭痛がする。

「時間・・・、大丈夫?」

ヒック、ヒックと音を立てるのどで聞いた。

「何が?」

頭にケイの声が振動になって響く。

「仕事・・。お客さんもう来る?」

ケイの腕の中で、私はお母さんに甘える子供みたいだった。

「あら、割と冷静なのね?そうねー、そろそろかしら?」

ケイの匂いを惜しむように、一度大きく吸い込んで体を離した。

「じゃあ、急いで掃除しなきゃ。時間ないね」

笑顔は作らなかった。

そんな必要は無いから。

ケイは観察するみたいに私の全身を見て言った。

「ハナにはもう少しだけ時間がいる」