ケイカ -桂花-

「お茶・・、あー、水がいいか。冷たいミネラルウォーターでいい?」

「ううん、お茶がいい。熱々の」

「分かった・・」と言ってお湯を沸かし始めるケイの目を盗んで、ポケットからグロスを出してゴミ箱に捨てた。

空っぽのゴミ箱に、吸い込まれるようにガランッっと音をたてた。

これで私はもう何にも持ってない。

「あ、私あのお茶がいい。私のお茶、ケイカってやつー」

暗くない、普通の声が出てホッとした。

「はい、はい。わがままムスメねー」

ポットにお湯を注ぐケイの声もいつもと同じだ。


別に大丈夫だよ。

なんでもない、よくある事だ。

2股なんて。

たまたまもう一人が友達だっただけだし。

あ、友達じゃないか、学校で一緒にいる人ってだけ。

ごく普通にその辺に転がってる、珍しくもない話。

それだけ。