ケイカ -桂花-

玄関のドアに耳を近づけて、中の様子をうかがう。

無音。

音を立てない様に細心の注意を払いながら、ドアを10センチ程開ける。

そして下へと目を向ける。

うわっ、若そう。

私でも履かないようなラメたっぷりのサンダルが、揃えられる事も無く、脱いだそのままの形で転がっている。

薄汚れていて、造花の花が妙に安っぽい。

愛人が本宅に乗り込むのにもっとミエはれよー。

そういう時は着飾るもんじゃないのかよ?

それとも、かわいそうな愛人感を出してるのか?

素早く玄関に入り込み、そおっとドアを閉める。

よし、ここまで成功。

リビングの方へ近づく。