―――どれくらい経ったのだろう。
桂木所長の部下である宮本さんがわざわざ私を捜しに来てくれた。
行き先を書いたメモを残してきて、よかった。
空からはだいぶ前から雨が零れ始まっていたようで、アスファルトがより暗い色に変わっている。
まるで、私の心を現しているよう。
結局資料探しも中途半端になってしまった。
だけど、今は正直仕事が手につかない。
なにをしてても、長澤と、長澤にやられたことを思い出す。
気持ち悪い…
ただ座って、資料を読んでいる振りをして定時まで過ごした。
―――桂木所長が忙しくてよかった。
でなければ、色々追求されてしまうだろうから。
今は、桂木所長とでさえも話をしたくない気分だった。

