ですが、
勇者様は魔王様の美貌にあてられて、呆然と私の手を握りしめていらっしゃいます・・・・・。

離していただけません。

手をフリフリしてみても離れません。
困ってしまいました・・・。

「随分と仲良くなったようですね、フリル・フリリアン。」

まるで北極にでもいるようなブリザードが私達を襲います・・・・。
誤解ですのに。

「仲良くなんて・・・・なっておりませんわ。」

「じゃあ何故手を?」
私でさえフリルと手などつないだことないのに。

・・・・・・・?
ここの主人である魔王様は危険はないので、手をつなぐ必要性を感じないのですが・・・・・。
手をつないでほしかったのでしょうか?

「魔王様ったら・・・お可愛いらしい。」

なでなでしてあげたくなりましたわ。
身長的に届かないのが残念極まりない・・・・。



あら?
魔王様ったら脱力していらっしゃいますわ。
私、何か間違ったのでしょうか?

まぁいいですわ。
脱力なさっているうちに、勇者様に挨拶させなくては!!
まだ呆然としたままの勇者様のスネを蹴りますと、正気に戻られました。


涙目なのは気にしない。