今日も
この国では
争いが起きている

街中には
埃まみれの人が溢れ
その横を
当たり前のように
戦車が走り抜ける
戦闘服をまとった人が
銃を構えて立っている

人々の
その瞳(め)に
輝きはない

僕は
ただただその光景を
見つめるだけだった

大人の身勝手な行動で
犠牲になるのは
いつも子どもたち
何もわからず
何も知らず
いつしか
戦うことだけを
覚えていく

いつの間にか僕の側に来た
砂埃に塗(まみ)れた少年は
睨みつけるように
僕を見た

彼らにとって
「平和」とはなんだ?
戦闘が終わっても
「戦い」が終わったわけではない
この国では
不満はすべて「力」で示す
「言葉」なんてものは
ないに等しい

少年は
何も言わずに
僕を見ていた

「笑ってごらん」

この国の争いを
心の底から
すべて
溶かしてしまうように

もし
笑い方を知らないなら
教えてあげよう
それが
僕にできる
すべてのことだから

少年は
今ここでできる
精一杯の笑顔を
見せてくれた

世界中の人が
心の底から
微笑むことができれば
争いはなくなるだろうに
なぜ人は
争うことを
やめようとしないのか

太陽のような笑顔で
去ってゆく少年を見て
僕は誓った

「笑顔を
 絶やしてはいけない」