要と美依を、揺さぶって起こした。
早くしなきゃ、仕事もあるし学校もあるから急がなきゃ。

「溝川さん、おはよ」
「おはよう、美依ちゃん」

目をこすりながら、溝川に言った。
要は、まだボケてるみたいで突っ立ていた。この馬鹿は…

「要」

要の頭を掴んで頭突きをした。これだと目が覚めそう。
それにストレス解消だ。

「いってぇぇ!!」

ばーか。ていうか、早く準備してよ、ライブがあるんだから。
今日は、大切なライブだ。何故かというと…初めて要と一緒に路上ライブした日、聞いてくれてた人達を集めたライブ。ずっと応援してもらっていたから感謝の気持ちとしてね。

「あー、緊張するわ」
「毎度のことでしょ」
サンドイッチを食べながら…落ち着け、俺。なんて言ってる要。ちょっとだけ笑える。

「お母さん、いってきまぁす!」

急いで走り去る美依を見送った。
誰に似たんだか…
要に似てるよね。遅刻してたし。

「さてと。溝川さん、ありがとうございました」

「ううん。お役に立てて良かったよ。しばらく、ここにいなよ。一人だと寂しいからね」

そういえば。一人、広い家で住んでいれば寂しいのは分かる。
もう少しだけ甘えさせてもらおうかな。