「…だからね、昔に比べると今は幸せだよ」

「…」

「でも、何かあったら言っちゃうかも」

安心させたくて、笑顔で南を抱きしめた。

「あ~…今、幸せすぎっ。でも、パパって言ってくれたら、もっと幸せ」

「…ぱ……ぱ?」

「じゃ、お父さんでいいや。それと敬語はいらないよ」


本当、素直で可愛い。


「そろそろ帰ろっか」

「うん」

手を繋いで旅館へと帰る。
今なら親子には見えないよね。

平次にでも見せつけたいくらいだ。

「ずっとずっと私の娘だよ」

「うん。ありがとう」


南はそう言って、密着してきた。おおっ、お父さんで良かったって思える瞬間だ。