それから、裕太の暴力が始まった。 電話に出ないと殴られ、帰りが少しでも遅いと蹴飛ばされた。 けれど、殴られる時以外はいつもの優しい裕太だった。 夏実の子供に気を使い、ベビーグッズをいつも買って来ていた。 夏実はもう感覚が麻痺してしまい、常に裕太がキレないように気をつかっていた。 幸せが何か、考えることも出来なかった。 ―そして、結婚式の1週間前。 悲劇が起きてしまった。