ほっとしたのは、つかの間だった。 「初樹」 そう呼ぶ、パパの腕の中に、チョコがいることに気づいたのは。 一瞬、頭の中が真っ白になった。 私はもう一度、11歳の自分を見ると、もうひとりの私がなでていたのは黒猫だった。 私はゾクッとすると身震いをした。 なんで? 確かにさっきは、チョコだったのに… すると、その黒猫が私を見ると、口を開けてにやりと笑った。 …名無しさん? 《クククッ! そうだ。驚いたか?》 私は息をのむと、恐怖のあまり後ずさりした。