-意地悪王子な旦那様-



「梨杏ちゃ〜ん、聞いてる?」

「………………。」

「……………。」

あ、やばっ。今完全にボーッとしてた

「き、聞いてます聞いてますって…」

顏が近いしそんなに不機嫌にならなくたっていいじゃん

「そういや、もう起きて平気なの?」

「は?」

何でそんなこと聞くの?私の体は365日いつだって健康ですが。

変な奴ーって目で訴えると王子は微笑んだ。

「ま、大丈夫か。丸一日寝てたしな」

──ん?…“丸1日”?

「ずぅーっと?」

「ずぅーっと」

えへへ、なんて可愛く王子が笑うもんだから赤面してしまった。

てか、冷静になれ私。

ソファーを見ると掛け布団が一枚…ってことは?

「先輩、もしかして、そこの…」

「なにかな?」

私が言いたいことを理解したように微笑む王子は、ずるい。


「ごっ、ごめんなさい!!」

「別に謝れなんて言ってねぇし」


あ、怒ってないんだ

そう安心した私がバカでした。


「梨杏がチューしてくれたら許してあげる」

「…………………。」

意味わかんないから、意味わかんないから!!

「い、嫌です。」

「無理」

ふざけてんの?このアホ王子は

てか………さ?


「この手、何?」

「さあ?」

ニコニコ微笑む王子に苛立ちを増幅させながらも冷静になろうと努力する私。


あ、ちなみに今の状況その①、私はベッドの上で王子がいる方を向いて寝ている。

その②、王子はというと…私の隣で寝ている、しかも!良からぬことに手を私の腰に巻いている


────き゛ゃぁぁぁぁぁぁ!!!!


「やーめーてーってば!!」


「だから、無理」


うっざ…

こりゃもう最終手段かな?

と思ったら王子が爆弾発言
「敬語で話すのやめて、あと…先輩って言わないこと」